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1970年当時、子宮癌全体の3%を占めるにすぎなかった子宮体癌は、現在、約35%に達しており、婦人科臨床上、重要な疾患とみなされるようになった。欧米化した食生活などのリスクファクターの究明、手術・化学療法など治療法の開発、さらに原因遺伝子などの研究が精力的に進められており、体癌検診の必要性が議論されている。本書では第一線の臨床家・研究者による最新の治療法、研究成果が紹介されており、これからの婦人科臨床には不可欠の1冊となっている。
目次
子宮内膜・子宮筋の発生と生理
I 子宮内膜・子宮筋の発生学
1.M殕ler管の発生と発達
2.胎児期における子宮の発達
a.子宮内膜上皮の分化の過程
b.子宮筋層と内膜間質の分化の過程
c.子宮内膜・筋層の分化に関与する因子
II 子宮内膜の生理的変化
1.子宮および子宮内膜組織の発生
2.ホルモンによる子宮内膜形態の周期的変化
a.性成熟期
b.閉経期および老人性内膜
3.子宮内膜細胞診からみたホルモンによる周期的変化
4.画像診断よりみた子宮内膜の周期的変化
a.超音波所見
b.MRI所見
5.子宮内膜周期へのステロイドホルモン・細胞増殖因子の関与
子宮内膜の病変
I 子宮内膜増殖性疾患
A.子宮内膜ポリープ
1.定義、概念
2.病因
3.病理
4.症状、臨床像
5.診断、鑑別診断
6.治療
B.子宮内膜増殖症
1.概念、定義
2.発生原因
3.分類と組織所見
a.分類
b.組織所見
c.現行組織分類の問題点
d.内膜増殖症の相互関係
e.子宮体癌との関連
4.臨床的特徴
a.年齢分布
b.症状
5.予後
6.診断
a.内膜細胞診
b.内膜組織診
c.経腟超音波検査
d.子宮鏡
7.治療
a.子宮内膜全面掻爬
b.単純子宮全摘出術
c.ホルモン療法
d.子宮鏡下の手術
II 子宮内膜癌(体癌)
A.概要と疫学
1.子宮体癌の概念
2.子宮体癌の頻度
3.年齢
4.子宮体癌増加の背景
5.2種類の子宮体癌
6.子宮峡部癌
7.妊娠合併体癌
8.家系内発生
9.タモキシフェンによる子宮体癌の発生
10.日米における子宮体癌の比較
a.アメリカにおける子宮体癌の疫学
b.日本における子宮体癌の疫学
c.日米の比較と子宮体癌増加の理由
B.病因・病態
i.性ホルモン秦 宏樹、蔵本博行
1.性ホルモンと発癌
2.性ホルモン反応性とその作用機序
a.エストロゲンの作用機序
b.プロゲステロンの作用機序
3.ホルモン受容体
a.エストロゲン受容体
b.プロゲステロン受容体
ii.癌遺伝子秦 宏樹、蔵本博行
1.癌遺伝子
2.DNAミスマッチ修復遺伝子
3.癌抑制遺伝子
a.p53遺伝子
b.PTEN遺伝子
c.DCC遺伝子
4.まとめ
iii.複合糖質
1.子宮体癌における異常糖鎖の発現
a.血液型関連糖鎖の発現
b.子宮体癌におけるLewisb型糖鎖の発現−抗子宮体癌抗体MSN-1の反応性
c.体癌における糖鎖発現異常の機序−糖転移酵素の測定
2.子宮体癌における糖鎖発現と病態
3.体癌細胞における異常糖鎖の発現と細胞特性の関連−浸潤・転移との関連を中心に
4.子宮体癌における糖転移酵素遺伝子の検討
C.病理組織分類 坂本★彦
1.類内膜癌とは
2.類内膜腺癌
3.類内膜腺癌の変異型
4.★平上皮への分化を伴う類内膜腺癌
5.漿液性腺癌
6.明細胞腺癌
7.粘液性腺癌
8.★平上皮癌
9.混合癌
10.未分化癌
D.進行期分類
1.手術進行期分類
a.手術進行期分類−FIGO、1988
b.TNM分類−UICC、1990
c.手術進行期分類−日産婦、1995
2.臨床進行期分類
a.臨床進行期分類−FIGO、1982
b.臨床進行期分類−日産婦、1983
3.わが国における子宮体癌の新進行期分類とその背景
a.0期の進行期決定の経緯
b.I期癌の浸潤度による分類
c.II期癌の分類
d.III期癌の分類
e.FIGOのIVB期癌についての解釈
4.子宮体癌の進行期別治療成績
a.FIGO Annual report Vol 23
b.日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 1987年登録症例の予後
c.札幌医科大学産婦人科における子宮体癌258例の治療成績
E.診断
i.内膜細胞診
1.子宮内膜細胞診の意義
2.細胞診による検診の有効性
3.採取方法、採取時期
4.標本作製方法
5.細胞診判定基準と信頼性
6.子宮内膜細胞診の形態的特徴
a.正常腺細胞
b.子宮内膜増殖症
c.子宮内膜腺癌(類内膜癌)
d.増殖症と癌の鑑別
7.内膜組織診
a.部位別掻爬診
b.子宮内膜増殖症の組織診
c.子宮内膜異型増殖症の組織診
ii.子宮鏡診
1.観察の手技
2.適応と禁忌
3.所見の解説
a.正常所見
b.子宮内膜増殖症
c.子宮内膜癌(体癌)
iii.腫瘍マーカー
1.子宮内膜癌の腫瘍マーカー
a.CA125(cancer antigen 125)
b.CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)
c.CEA(carcinoembryonic antigen)
d.CA72-4(cancer antigen 72-4)
e.TPA(tissue polypeptide antigen)
f.CA15-3(cancer antigen 15-3)
g.尿中hCGβ-core fragment
h.IAP(immunosuppressive acidic protein)
2.コンビネーションアッセイ
iv.経腟超音波断層法
1.スクリーニング検査
2.進行度診断
v.CT
1.部筋層浸潤
vi.MRI
1.検査の実際
2.子宮体癌のMRI所見
a.正常子宮のMRI解剖
b.子宮体癌のMRI所見
3.体癌の病期診断としてのMRI
4.鑑別診断の留意点
5.MRI検査の今後の展望と核医学的検査の役割
vii.体癌検診
1.体癌検診の対象
2.体癌検診の実施成績
3.早期発見の成果
4.体癌検診の有効性
F.治療法
i.手術療法
1.子宮内膜癌の子宮外への進展頻度
a.子宮傍結合織への転移
b.付属器転移
c.骨盤リンパ節転移
d.傍大動脈リンパ節転移
e.腹腔細胞診
2.手術療法の適応
3.手術術式の選択
a.子宮摘除術式の選択
b.付属器の摘除
c.骨盤リンパ節の郭清
d.傍大動脈リンパ節の郭清
4.手術療法の治療方針
a.欧米の方針
b.北里大学病院での治療方針
5.北里大学病院での治療成績
6.術後療法の治療方針
a.欧米の方針
b.日本婦人科がん化学療法共同研究会の方針
c.北里大学病院での方針
d.腹腔細胞診陽性者に対する術後療法の是非
ii.化学療法
1.子宮体癌の予後因子
2.化学療法による治療効果
a.単剤投与
b.多剤併用療法
c.ホルモン・化学療法の併用療法
d.術後化学療法
e.化学療法と放射線療法の併用
f.特殊な組織型に対する化学療法
3.副作用とその対策
a.骨髄毒性とその対策
b.消化器毒性とその対策
c.腎毒性とその対策
d.その他の副作用
iii.放射線療法
1.治癒を目的とした放射線療法
a.術後照射
b.根治照射
2.姑息的な放射線療法
a.進行例
b.局所再発巣
c.転移巣
3.漿液性腺癌・明細胞腺癌の治療
4.合併症
a.急性障害
b.晩期障害
iv.ホルモン療法
1.子宮体癌の発生とホルモン療法の意義
2.子宮体癌の臨床進行期とホルモン療法
3.ホルモン療法の作用機序
a.黄体ホルモン剤
b.抗エストロゲン薬
c.GnRHアナログ
d.ダナゾール
4.ホルモン療法の種類とその効果
a.黄体ホルモン療法
b.抗エストロゲン薬療法
c.GnRHアナログ療法
5.ホルモン療法の適応とその実際
a.術後ハイリスク症例におけるホルモン療法
b.手術不能例あるいは子宮体癌再発例におけるホルモン療法
c.若年子宮体癌例におけるホルモン療法
6.ホルモン療法の副作用と注意点
a.黄体ホルモン療法
b.抗エストロゲン薬療法
c.GnRHアナログ療法
G.予後
1.統計からみた子宮体癌の予後
a.世界集計
b.わが国の集計
c.国外の集計
2.長期予後
3.希少組織型の予後
a.漿液性腺癌
b.明細胞腺癌
c.小細胞癌
4.予後を左右する因子
a.臨床的因子
b.病理学的因子
c.多変量解析による独立因子
d.分子生物学的予後因子
5.転移・再発後の予後
H.若年子宮体癌
1.特徴
2.病態と発症機序
a.ホルモン依存性からみた子宮体癌
b.子宮内膜病変における局所でのエストロゲン産生動態
c.若年子宮体癌における多段階発癌機構
3.保存的治療法
a.黄体ホルモン療法による保存的治療
b.保存的治療の適応と条件
c.保存的治療の実際
d.保存的治療の可能性と限界
I.進行・再発癌の管理
1.病態の把握と再発の診断
a.全身状態
b.病巣の大きさと広がりの診断
2.進行・再発体癌の背景
a.年齢
b.組織型、組織分化度
c.筋層浸潤
d.頚部浸潤
e.腹腔内進展
f.リンパ節転移
g.脈管侵襲
h.ホルモン受容体
i.癌遺伝子異常
3.インフォームドコンセント
4.進行・再発体癌の治療
a.手術
b.放射線治療
c.化学療法
d.ホルモン療法
5.ターミナルケア
J.家系内癌集積性
1.子宮体癌の重複癌発生頻度
2.体癌の家系内癌集積性とHNPCC
a.子宮体癌の家系内癌集積性
b.子宮体癌の家系内体癌集積性
c.HNPCC(Lynch症候群)
3.体癌患者の家系内癌集積調査
4.HNPCCにおける遺伝子変化と発癌機構
5.RERの頻度
a.重複癌
b.散発(孤発)癌
c.子宮体癌
6.体癌患者のRERおよびMMR遺伝子異常の検索
III 間葉系腫瘍と関連病変
A.子宮内膜間質肉腫
1.定義、歴史
2.組織学的分類
a.子宮内膜間質結節
b.低悪性度子宮内膜間質肉腫
c.高悪性度子宮内膜間質肉腫
d.他の腫瘍との鑑別診断
3.臨床症状、検査
4.治療
a.手術療法
b.放射線療法
c.化学療法
d.ホルモン療法
5.予後
6.まとめ
B.子宮平滑筋肉腫
1.定義
2.組織分類
a.良性と悪性との鑑別
3.診断
a.臨床像
b.画像診断
4.治療
5.予後
IV 上皮性・間葉性混合腫瘍
1.良性上皮性・間葉性混合腫瘍
a.腺線維腫 adenofibroma
b.腺筋腫 adenomyoma
2. 悪性上皮性・間葉性混合腫瘍
a.腺肉腫 adenosarcoma
b.癌線維腫 carcinofibroma
c.癌肉腫 carcinosarcoma (旧分類malignant mullerian mixed tumor : MMMT)
V その他の腫瘍、続発性腫瘍
1.その他の腫瘍
a.性索様腫瘍 sex cord-like tumor
b.胚細胞型腫瘍 tumor of germ cell type
c.神経外胚葉性腫瘍 primitive neuroectodermal tumor(PNET)
d.悪性リンパ腫・白血病 malignant lymphoma and leukemia
e.その他の原発性腫瘍 others
2.続発性腫瘍
a.女性性器からの続発性腫瘍
b.性器外からの続発性腫瘍
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