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2005年12月刊行《新世紀の精神科治療》第3巻の普及・新装版である。
老年期精神疾患を身体・心理・社会性疾患としてとらえるとき、老年期の幻覚妄想は、その典型例の最たるものといえる。本巻では、老年期の幻覚妄想の治療は身体・心理・社会的側面を統合した立場からなされるべきとの理念に基づき、幻覚妄想を伴う三大精神疾患である「遅発性パラフレニー」「皮膚寄生虫妄想」「Charles Bonnet症候群」を軸に治療論を展開していく。
目次
■高齢者のおかれた現実−社会環境・身体状況
1.高齢者をめぐる社会と環境
a.高齢化の状況
1.高齢社会−高齢化率の変遷
2.高齢者人口の構成
3.平均寿命と平均余命
b.高齢者の状況
1.高齢者の家族
2.高齢者の経済状況
3.高齢者の就業状況
4.高齢者の社会参加
5.高齢者の主観的意識
2.高齢者の身体機能−その生理的機能と病的機能をめぐって
a.身体の生理的老化現象と老化性疾患
1.高齢者にみる外見上の変化
2.高齢者にみる皮膚の変化と老化性皮膚疾患
3.高齢者にみる歯と口腔の変化と老化性疾患
4.高齢者にみる骨・関節の変化と老化性疾患
5.高齢者にみる感覚機能の変化と老化性疾患
6.高齢者にみる内臓諸器官・代謝・生理的機能の老化と老化性疾患
b.高齢者の健康と医療
1.高齢者の有訴者率
2.高齢者の健康意識
3.高齢者の受療と死因
c.高齢者の介護状況
■老年期の幻覚妄想
1.老年期の幻覚妄想をめぐって
a.老年期の幻覚妄想
1.老年期の幻覚妄想とは
2.多彩な老年期の幻覚妄想状態
3.精神疾患分類のなかでの老年期の幻覚妄想
b.幻覚
1.幻覚の定義
2.幻覚の種類
3.幻覚性疾患
c.妄想
1.妄想の定義
2.妄想形式
3.妄想主題と妄想内容
4.妄想性疾患
d.妄想論について
2.老年期の幻覚と妄想−歴史と概念
a.ドイツ語圏での研究史
1.遅発精神病性障害の概念と展開
2.パラフレニーをめぐって
b.英語圏での診断概念
c.わが国における遅発精神病性障害の理解
d.診断基準にみる遅発精神病性障害
3.老年期の幻覚妄想と脳病変
a.脳器質性精神病概念の成立過程
b.器質性幻覚妄想の一般的な特徴
c.幻覚妄想の出現頻度と疾患親和性
d.脳の病変局在と幻覚妄想
1.後頭葉と幻覚(幻視)
2.側頭葉と幻覚
3.脳幹性幻覚とナルコレプシー
e.幻覚と脳局在性病変にかかわりが想定される疾患
1.特発性Parkinson病
2.Lewy小体を伴う痴呆
f.老年期痴呆と幻覚妄想−脳局在性病変とかかわりの乏しい幻覚妄想
1.一般的な事項
2.痴呆に親和性のある幻覚妄想
3.Alzheimer型痴呆の脳病変と幻覚妄想
4.脳血管障害の脳病変と幻覚妄想
g.意識障害(せん妄)と幻覚妄想
1.痴呆性疾患−特に脳血管性痴呆に伴うせん妄と幻覚妄想
2.せん妄の遷延化と脳病変
■幻覚妄想を伴う老年期疾患とその治療構造
1.遅発性パラフレニー−症例を中心に
a.症例提示
b.症例の検討
c.考察
1.遅発性統合失調症から遅発性パラフレニー・接触不良性妄想症
2.遅発性パラフレニーをめぐる論争
3.遅発性パラフレニーの定義
4.遅発性パラフレニーの精神病理
2.皮膚粘膜幻覚妄想症(皮膚寄生虫妄想,口腔内セネストパチー)あるいは身体型妄想性障害
a.セネストパチーについて
b.身体型妄想性障害
c.心気症との関連
d.皮膚寄生虫妄想に関する歴史的経緯
e.ウェブサイトより−症例にかえて
f.疫学
g.発症年齢と性別
h.発症から初診までの期間
i.受診行動
j.診断
k.教育歴・職業
l.家族関係・社会状況
m.病前性格と遺伝負因
n.発症のきっかけ
o.皮疹の有無
p.症状
q.虫の種類,大きさ,色
r.虫と身体部位
s.感応状態
t.経過・予後
u.治療
v.口腔内セネストパチーについて
w.今後の問題点,病態との関連で
3.Charles Bonnet 症候群
a.定義
b.疫学
c.症状
d.病態
e.治療
4.老年期の幻覚妄想の治療構造
1.個人と社会
2.個人の内部構造
3.老年期の幻覚妄想
4.遅発性パラフレニーの疾病構造
5.皮膚粘膜幻覚妄想症の疾病構造と治療構造
6.Charles Bonnet 症候群の疾病構造と治療構造
7.疾病構造から治療構造へ
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