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わが国では,近年高齢者が急増し,厚生労働省や日本医師会が在宅医療を推進している反面,緩和医療技術が追いついていないという実状が指摘されている.
本書では,がんおよび非がん疾患に対して「治す医療から支える医療」の実践のために必要な知識と技術について,地域で実際に在宅の緩和医療や終末期ケアに携わる医師を中心とした執筆陣が,わかりやすく解説している.
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目次
1章 緩和医療
日本の緩和ケアの歴史と展望 (志真泰夫)
がん患者の包括的評価─ 患者・家族の苦痛を知り,ケアに活かすために (鄭 陽)
疼痛
がん疼痛の機序,分類─ 病態生理から読み解くがん疼痛 (浜野 淳)
痛みの評価─ 鎮痛薬の投与をする前に痛みの評価を行う (足立誠司)
非オピオイド鎮痛薬,弱オピオイド─ 疼痛対策の始まりは非オピオイド鎮痛薬から (井上 彰)
オピオイド鎮痛薬,オピオイドスイッチング-WHO方式に沿って個々の患者に最適な薬剤選択を (井上 彰)
オピオイドの副作用-副作用を制するものはオピオイドを制す (井上 彰)
非がん性慢性疼痛患者における注意点 (大西佳子,細川豊史)
鎮痛補助薬-鎮痛薬の効きにくい痛みに効果を発揮する薬剤 (冨安志郎)
がん疼痛の原因にアプローチする放射線治療 (清水わか子)
緩和医療における神経ブロック (大西佳子,細川豊史)
呼吸器症状
呼吸困難をどう評価し,どう対応するか (田中桂子)
咳嗽・胸水への対応 (小原弘之)
消化器症状
がん患者に悪心・嘔吐を認めたときの対応 (今井堅吾)
がん性腹膜炎による消化管閉塞の管理 (久永貴之)
緩和ケアにおける腹水・便秘・下痢のマネジメント (関本 剛)
神経症状
がんに伴う神経症状への対応─ 終末期の意識障害,転移性脳腫瘍,頭蓋内圧亢進,痙攣,末梢神経障害など (横山太郎)
悪液質,食欲不振,倦怠感
がん患者の食欲不振・倦怠感の緩和 (松尾直樹)
精神症状
不眠・抑うつ・自殺への対応-つらさを支えるケアと自殺予防のためにできること (上村恵一)
せん妄への対応-不穏や焦燥感の背景にある身体的問題を見落とさない (小川朝生)
緊急対応
オンコロジー・エマージェンシー-がん患者の緊急性を要する病態への対応 (西 智弘)
がん患者における痛み以外のさまざまな症状緩和 (金石圭祐)
インターベンション-画像診断技術を利用した積極的な症状緩和 (大坂 巌)
在宅での緩和ケア
地域での在宅緩和ケアの提供体制と制度 (清水政克)
悪性腫瘍患者指導管理-鎮痛薬・鎮静薬の持続皮下注,点滴困難時の皮下輸液など (後藤慶次)
2章 終エンド オブ ライフ末期ケア
死に至る自然経過
疾患の軌道を4つのパターンに分けて考える (山本 亮)
予後の限られた終末期がん患者における予後予測の重要性 (前田一石)
コミュニケーション
援助的コミュニケーション-苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい (小澤竹俊)
悪い知らせを伝えるコミュニケーション-医療の現場で求められるコミュニケーション技術 (前田紗耶架,恒藤 暁)
意思決定支援
アドバンス・ディレクティブの歴史と課題-リビングウィルと代理人指定を書面等に残す意義 (西川満則,三浦久幸)
臨床倫理と倫理的ジレンマ-患者の「人生の物語り」から読み解く (会田薫子)
がんの終末期ケアにおける意思決定支援 (田村里子)
非がん,難病の意思決定支援─ 多死時代で急増,がんとは異なる難しさ (荻野美恵子)
スピリチュアルケア・グリーフケア
苦しむ人への援助と5つの課題-スピリチュアルケアをわかりやすい言葉にする (小澤竹俊)
多職種連携で行うケアの実際-苦手意識から関わる自信につながる連携の可能性 (小澤竹俊)
具体的な関わり方を学ぶ 会話記録で学ぶ1対1の対応 (小澤竹俊)
ディグニティセラピー-尊厳を取り戻す援助 (小澤竹俊)
死別後の遺族を支えるグリーフサポート (髙橋聡美)
終末期における栄養・摂食嚥下
終末期の口腔ケア・オーラルマネジメント-口腔ケアだけでなく,的確な評価,歯科治療も重要 (岸本裕充)
終末期の摂食嚥下障害への対応 (野原幹司)
終末期に求められている栄養療法・栄養管理・食支援 (西山順博)
がん終末期の輸液栄養と「輸液ガイドライン」 (中島信久)
非がんの終末期の対応
慢性心不全-病の軌跡から考える慢性心不全の地域連携 (大石醒悟)
慢性閉塞性肺疾患の症状緩和 (小原弘之)
慢性腎不全-血液透析非導入という対処方法 (渡邊有三)
終末期における緩和的リハビリテーション (石川朗宏)
小児の終末期-小児の緩和ケアの課題と今後 (南條浩輝)
苦痛緩和のための鎮静-最期のときまで穏やかに過ごせるために (池永昌之)
法医学
死亡診断と死体検案-在宅での終末期,看取りを安心して迎えるために (松本純一)
付録 〈緩和ケア普及のための地域プロジェクト〉『これからの過ごし方について』
索引
Nakayama Shoten Co., Ltd.