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メニエール病専門医院を開業する著者が長年の治療データをもとに、メニエール病はストレスが原因であることを解明するまでの研究の道のりを、生物学・シェークスピアの比喩も交えながら語る。
誤った治療が長く続いてきた耳鼻科治療の弊害も訴える。
目次
第1章 有名になり過ぎた病気
1)名前の由来と茨の道
2)難問解決のための意外な武器
第2章 病因研究の不幸な歴史
1)厚生(厚労)省研究班40年の歩み
2)時流に翻弄された病因研究
3)袋小路からの脱出
第3章 メニエール病をモルモットで再現できる?
1)側頭骨病理学の全盛と限界
2)生物学の視点から見える別世界
第4章 アンケート調査から浮かぶ患者プロフィール
1)ストレス研究の突破口
2)患者群と地域住民群のアンケート調査
3)露わになった患者の特異性
第5章 混沌とした現象を解きほぐす定番手段
1)威力を発揮した生態学の手法
2)僅かな違いが生む大きな乖離
3)ひたすら患者を観察する
第6章 ストレスはいかに生まれるか?
1)階層構造が生むストレス
2)男女で大きく異なる発症誘因
3)報酬不足は企業の赤字と同じ
4)個人対集団で生まれる軋轢
第7章 データベースが示す規則性
1)不規則に潜む規則性を探す
2)難聴はなぜ進行してしまうのか?
3)治療効果の判定ツール
第8章 一側の進行で、なぜ他側が発症するのか?
1)両側性に移行する実態を調べる
2)初発も健側発症も情動解消手段
第9章 惨憺たる治療の歴史
1)死屍累々の対症療法
2)目には目を、歯には歯を
3)人間の発想様式の弱点
第10章 スモンの教訓からメニエール病研究を検証する
1)パンデミックの劇的な解決
2)身近なものは見過ごされる
3)研究者を呪縛する時の流れ
第11章 一患者が覆したこれまでの常識
1)闇を照らした一筋の光
2)学会を驚かせたブレイク・スルー
3)否定されたSchuknecht一門の仮説
第12章 有酸素運動でなぜめまいと難聴が治る?
1)有酸素運動で何が変化する?
2)データベース集計による治療成績
3)治療効果から判明した膜迷路の病態
第13章 自傷反応は切れる一歩手前
1)階層構造、行動特性、情動の連鎖
2)情動の収支簿赤字の解消手段
第14章 長期罹病例が明かす病気の舞台裏
1)予後を左右する個別要因
(1)体調悪化
(2)ステロイド薬の大量服用
(3)過酷な生活環境
(4)有酸素運動による健側発症予防
(5)難聴の自律的進行
2)長期予後を決める要因
15章 きわめて人間的な病気
1)集団内で生き抜く戦略
2)我慢と熱中が報酬不足を招く
3)ヒトを支配する欲と感情
4)報酬不足解消の標的
第16章 ミクロかマクロか、知識か直観か?
1)生化学、心理学、ゲノミクス
2)病因は普遍的か個別で異なるか
3)群盲象を撫でる
第17章 長らく解決しなかった理由
1)答えにならない自律神経異常
2)研究者に必要な広い視野
3)病気というよりも生物学的な現象
第18章 研究に必要なのは直観と愚直の一念
1)研究者を阻んだ心身二元論
2)患者の心に向き合う
3)合理性のある現象
第19章 メニエール病に紛らわしい浮遊耳石症
1)多彩な症状を示す浮遊耳石
2)変動する症状と有害な生活習慣
3)耳症状の発現部位を探る
第20章 研究結果が示唆するヒトの特異性
1)解明を阻んだSchuknecht氏のテキスト
2)現象を見誤った研究者たち
3)発症は脳が生む創発現象
4)進化の奇形児、ヒトの脳
5)前頭葉が生むヒトのジレンマ
メニエール病その他の研究活動
索引
Nakayama Shoten Co., Ltd.