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理学療法士は,切断のリハビリテーションにおいて,断端機能を改善させ,適合した義肢で生活動作が獲得できるよう理学療法を行う.
本テキストでは,下肢切断を中心に,切断のリハビリテーションの流れ,義肢の構造とその操作に必要な身体機能,理学療法,理学療法士の役割について講義する.
第2版では,最新の義肢に対応.シリコンライナー,スポーツ用義肢を詳述,フルカラーとして,理解を助ける図やサイドノートを多数追加した.
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目次
LECTURE 1 切断と義肢の基礎知識 (笘野 稔)
1.理学療法と義肢学
2.切断術とは
1)切断術の意義
2)切断術の目的
3.切断の疫学
1)切断者の数
2)切断時の年齢
3)切断部位
4)切断原因
4.切断を回避する手術・処置
1)循環障害
2)外傷
3)悪性腫瘍
5.切断端
1)切断端の長さ
2)皮膚の処理
3)骨の処理
4)筋肉の処理
5)血管の処理
6)神経の処理
7)皮膚の処理
6.断端の術後変化と理学療法士の役割
1)術後早期の断端の浮腫
2)急性期以降の断端
7.義肢の種類
1)装着部位による分類
2)用途による分類
8.義肢の基本構成要素
1)ソケット
2)継手
3)足部(足継手)および手先具
4)支柱(幹部)
9.切断術後のリハビリテーションの流れ(下肢切断の場合)
1)下肢切断のゴール=義足歩行ではない
2)義足歩行がゴールとならない場合
3)義足歩行がゴールとなる場合
Step up
1.重症虚血肢に対する血行再建
1)血管内治療
2)バイパス術
2.切断部位の決定の難しさ
1)大腿切断長断端(顆部より遠位の切断):価値が低い
2)下腿切断極短断端(脛骨粗面より近位の切断):有害
3)下腿切断長断端:価値が低い
4)足関節の離断:有害
3.義肢の歴史
1)近代以前の義肢
2)戦争と義肢
LECTURE 2 早期義肢装着法と義足適合の流れアライメントの概念 (永冨史子)
1.身体と義肢の違い-早期義肢装着法とアライメントの概念
1)早期義肢装着法とは-義足製作のタイミング
2)練習用義足
3)断端の成熟と理想的断端
4)訓練用仮義足
2.アライメントとは
1)アライメント設定の目的
2)3 段階のアライメントとチェックアウト
3.理学療法士のみているものと考えていること
4.早期義肢装着法におけるアライメントチェックアウトの重要性
1)チェックアウトの成否が歩行能力の獲得に大きく影響する
2)歩く練習を急がない─異常歩行の「矯正」よりも「予防」が重要
Step up
1.理学療法士がアライメント・義足構造を学ぶのは何のためか
2.アライメント調整と部品
3.訓練用仮義足の歴史
LECTURE 3 大腿切断・膝離断の基本と義足構造 (永冨史子)
1.大腿切断の断端と大腿義足の特徴
2.大腿義足のソケット
1)ソケットの役割
2)大腿義足のソケットの発展と種類
3.大腿義足の懸垂
4.膝義足のソケットと構造
5.膝義足の懸垂機構
6.膝継手
1)膝継手に求められる機能
2)継手軸の数による分類
3)膝継手の立脚相・遊脚相制御機能による分類
7.足継手と足部
1)足継手と足部の基本構造
2)大腿義足における足継手と足部
3)その他の機能部品
Step up
1.膝継手のダイナミックスタビリティ
1)バウンシング機構
2)イールディング機構
2.特殊な義足
1)スポーツ用義足
2)作業用義足
LECTURE 4 大腿義足・膝義足のアライメント (永冨史子)
1.大腿義足と膝義足のベンチアライメント
1)標準的な大腿義足のベンチアライメント
2)膝義足のベンチアライメント
2.大腿義足と膝義足のスタティックアライメント
1)大腿義足のスタティックアライメント
2)膝義足のスタティックアライメント
3.大腿義足のダイナミックアライメント
1)大腿義足歩行にみられる異常歩行
2)大腿義足歩行にみられる異常歩行とその原因
Step up
1.標準のベンチアライメント設定変更例-大腿切断短断端
2.スタティックアライメントチェックは立位以外も必要:座位での確認
3.現在も続く新しい義足の開発
1)電子制御の膝継手,悪路に対応する足部
2)ソケットのいらない義足
LECTURE 5 下腿切断・サイム切断の基本と義足構造 (笘野 稔)
1.下腿切断の特徴
1)膝関節機能が残存する
2)足関節機能が失われる
2.下腿義足のソケットと懸垂
1)在来式
2)在来式からPTB式への発展
3)PTB式ソケット
4)PTS(PTES)式ソケット
5)KBM式ソケット
6)PTBソケットからTSBソケットへの発展
7)TSB式ソケット
8)懸垂装置の臨床応用
3.サイム切断の特徴
4.サイム義足のソケット
5.サイム義足の体重支持機構
6.サイム義足の足部
Step up
1.ライナーの問題点
1)汗の問題
2)素材の不適応
3)装着時の締め付け・引っ張りに対する違和感
4)縁の部分の炎症
2.ライナーのいろいろ
1)シリコーン製のライナー
2)やわらかく肌に優しいライナー
LECTURE 6 下腿義足・サイム義足のアライメント (笘野 稔)
1.下腿義足のベンチアライメント
1)前額面
2)矢状面
3)初期屈曲角
4)初期内転角
5)TSB式の場合
2.下腿義足のスタティックアライメント
1)立位でのチェック
2)座位でのチェック
3.下腿義足のダイナミックアライメント
1)踵接地から立脚中期まで
2)立脚中期
3)立脚中期から踏み切り期まで
4.サイム義足のベンチアライメント
1)初期屈曲角と初期内転角
2)体重支持
5.サイム義足のスタティックアライメントとダイナミックアライメント
6.足部(足継手)について
1)正常足関節と足部
2)足継手の選択
3)足継手の種類
4)サイム義足の足部
Step up
生体下肢が行っているエネルギー蓄積と放出
1)正常歩行における足関節と足部に関連するエネルギー
2)義足足部のエネルギー蓄積
LECTURE 7 股離断・片側骨盤切断・足部切断の義足構造とアライメント (永冨史子)
1.股義足の適応と特徴
1)股義足の適応となる切断高位
2)股離断のソケットと懸垂機構
3)片側骨盤切断のソケットと懸垂機構
2.カナダ式股義足のアライメント
1)股義足の基本的ベンチアライメント
2)骨格構造股義足と殻構造股義足の違い
3)股義足のスタティックアライメント
4)股義足のダイナミックアライメント
5)片側骨盤切断用義足の工夫
3.足部切断と足部の義足
1)足部切断の種類
2)足部部分切断により失う機能
3)足部部分切断の理学療法の留意点
4)足部の義足
Step up
1.フットケア:末梢循環障害の足部切断者の皮膚管理
2.義足ができるまで
LECTURE 8 下肢切断の評価 問題点の抽出とその統合 (笘野 稔)
1.下肢切断の評価項目
2.切断肢以外の評価の重要性
1)歩行予後への影響因子
2)全身状態
3)体幹と非切断肢
4)その他の評価項目
3.問題点抽出と統合
1)予後予測とゴール,プログラムの決定
2)リハビリテーションチームとしてのゴール
3)ゴールは初期評価である程度見通せるもの
4)再評価の重要性
4.断端評価と形態測定
1)視診・触診
2)断端長の測定
5.関節可動域の測定
1)大腿切断時の測定
2)下腿切断時の測定
6.筋力の測定
1)義足非装着時の測定
2)義足装着下の測定
7.断端周径の計測
1)断端周径を計測する理由
2)断端周径の計測法
8.感覚検査
9.幻肢と神経腫
1)幻肢とは
2)幻肢の原因
3)幻肢の臨床的経過
4)幻肢痛
5)神経腫
10.再評価の重要性
Step up
1.切断で切離された筋は運動に参加するか
2.創傷治癒について
1)再生と修復
2)一次治癒と二次治癒
3)瘢痕と肥厚性瘢痕
LECTURE 9 下肢切断の機能障害と義足装着前理学療法 (永冨史子)
1.義足装着前理学療法の概要
1)義足装着前理学療法の対象と目的
2)非切断肢の能力改善
3)体幹・近位関節の能力の重要性
4)切断肢の機能改善
2.立位バランスと歩行練習
3.義足を装着しないで行うADL動作
4.高齢者のもつ身体的特徴と理学療法
Step up
1.義足装着非適応の切断者と理学療法の留意点
1)身体的理由
2)心理的理由
2.義足歩行をしない切断者に対して行うこと
1)車椅子での日常生活レベル
2)ベッド上での日常生活レベル
3)義足歩行ができなくても機能へのアプローチは重要
4)義足を用いないADL 練習のポイント
LECTURE 10 切断原因疾患別・活動目的別の義肢と理学療法 (笘野 稔)
1.切断原因疾患と活動性
2.血管原性切断
1)原因疾患
2)切断を回避する処置:救肢
3)血管原性疾患に起因する問題の特徴と留意点
3.高齢者
1)高齢者の特徴
2)高齢切断者の評価と理学療法プログラム
3)脳血管障害の影響
4)義足(歩行)の適応
4.外傷
1)外傷性切断の特徴
2)外傷のバリエーションと問題点
5.両側下肢切断
1)両側下肢切断のとらえ方
2)短義足
6.悪性腫瘍
1)悪性腫瘍と患肢温存術
2)下肢切断術後の問題点と留意点-がんリハビリテーションとして
7.先天異常
1)疾患の知識
2)問題点と留意点
8.スポーツと義肢
1)スポーツ用義肢を利用できる活動性をもった切断者
2)スポーツ用義肢の特徴と機能
Step up
1.義足歩行は楽じゃない:運動負荷強度と体力の考慮の必要
1)義足歩行の運動負荷
2)実用歩行困難でも「立つ練習は行わない」「義足の適応なし」とは限らない
2.悪性腫瘍に対する患肢温存手術の実際
1)腫瘍用人工関節
2)処理自家骨移植
3)骨延長術を利用した再建
4)患肢温存的回転形成術(rotationplasty)
3.植皮術
1)植皮術の種類
2)植皮された皮膚の特徴
LECTURE 11 義足装着理学療法と応用動作 (永冨史子)
1.義足装着理学療法の成り立ち
2.アライメントチェックアウトと義足装着理学療法
3.立位バランス練習
1)義足装着理学療法は歩くための準備時期が重要
2)立位バランス練習のポイント
4.ステップ練習
1)二重支持期を大切に
2)膝継手を切断者自身でコントロールする練習
3)遊脚相は持ち上げて置くのではない
5.歩行練習
6.義足装着練習(義足を切断者自身で装着する練習)
7.起居動作練習
1)義足の弱点
2)歩行以外のADL
3)大腿切断・膝離断の床からの立ち座り動作
8.応用歩行練習
1)切断者の応用歩行の原則
2)具体的な方法と指導のポイント
9.復帰生活と環境の考慮
1)活動レベルのとらえ方
2)低活動者の理学療法計画のポイント
10.自立した切断者
Step up
切断者の走行練習-義足で走る
1)ストレッチと筋力強化
2)ジャンプ力
3)走行
LECTURE 12 義手の分類と構造・機能 (妹尾勝利)
1.義手の機能的分類
2.義手の部品と構成
1)ハーネス
2)継手
3)ソケット
4)支持部
5)上腕カフ
6)手先具
7)装飾グローブ
3.装飾用義手の構成
4.作業用義手の構成
5.能動義手の構成と操作手順
1)上腕能動義手
2)前腕能動義手
6.義手の適合判定
1)義手の長さ
2)上腕義手の適合判定
3)その他(不随意的な肘継手のロック・アンロック)
4)前腕義手の適合判定
7.筋電義手の構成
1)基本構造
2)制御方式
3)筋電義手の利点と欠点
8.義手の機能と活かし方
Step up
1.最先端の筋電義手
2.肘関節運動を力源とした前腕能動義手
LECTURE 13 上肢切断の評価と治療 (妹尾勝利)
1.上肢切断におけるリハビリテーションの流れ
2.上肢切断部位と機能的特徴
1)肩甲胸郭間切断(フォークォーター切断)
2)肩関節離断
3)上腕30~50%切断(上腕短断端)
4)上腕50~90%切断(上腕標準断端)
5)上腕90~100%切断(肘関節離断)
6)前腕0~35%切断(前腕極短断端)
7)前腕35~55%切断(前腕短断端)
8)前腕55~100%(前腕中・長断端)
9)手部切断
3.上肢切断の理学療法
1)目的
2)オリエンテーション
3)評価
4)治療
4.能動義手と筋電義手の練習
1)能動義手
2)筋電義手
Step up
1.上肢の特殊な切断─クルーケンベルグ切断(Krukenbergplastik)
2. 個別性の高い義手
LECTURE 14 義肢装具の支給体系とチームアプローチ (永冨史子・橋本泰典)
1.義肢装具の支給体系
1)支給システムの概要
2)価格
3)対象となる補装具の個数
4)耐用年数
2.医療保険を使った義肢装具の支給:1本目の義肢製作の流れ
1)病気の場合
2)労災事故の場合
3)交通事故の場合
4)公的扶助の場合
3.治療後の義肢支給:2本目以降の流れ-障害者総合支援法と労災保険法
1)障害者総合支援法
2)労災保険法での申請の流れ
3)支給の仕組みと法
4.切断のリハビリテーションチーム
5.切断者の心理とリハビリテーション
1)「障害」「障害者」のイメージ
2)「歩けるようになりますか」という言葉に込められた意味を知る
3)目に見える障害と目に見えない障害
4)切断者が立ち向かう壁
5)理学療法士の役割
Step up
1.介護保険制度による福祉用具のレンタルおよび購入
1)介護保険で購入補助の対象となる(レンタルできない)特定福祉用具
2)介護保険においてレンタル可能な福祉用具とその他の制限
3)介護保険で住宅改修を行う
2.医療費の助成
3.スポーツ用義足とサポートチーム
4.スポーツ用義足と切断者の能力
LECTURE 15 義肢(学)の展望 (永冨史子)
1.これまでの義肢の歩みとこれからの展望
1)義足部品の進化と適応
2)義足の各部品の開発と課題
2.これからの切断者の病態と展望
切断原因の変化と複雑化
3.切断の理学療法のこれから
1)残存肢代償機能の習熟を超えて人体構造変化への適応学習
2)切断後の姿勢制御トレーニングの影響と可能性-身体変化と脳機能の変化
3)高齢切断者への対応
4)身体を失うだけではなく特殊な能力をもつヒトへ
Step up
ユーザーの困りごと─義足で人体を再現する難しさ・快適性と応用性
WIfI分類
TEST 試験 (永冨史子)
索引
Nakayama Shoten Co., Ltd.